からだの真ん中にありながら、自分では観ることも動かすこともできない、心臓。名古屋ハートセンターでは、心臓の形態・機能や病態を、最新の医療機器を用いてさまざまな視点から可視化し、診断・治療に役立てています。医療の現場ではこれを「心臓イメージング」とか「心臓画像診断」と呼びます。
当院において「心臓画像診断」を担う主な装置は、 |
心臓の動きや形態を簡便にみられる心エコー検査、冠動脈や心臓の各部を3次元で観察する CT検査、心臓機能の異常や心筋梗塞などの心筋障害が発見できる MRI検査を組み合わせることで、総合的かつ質の高い診断につながります。ハートセンターではこれらのモダリティを駆使し、患者様おひとりおひとりの病態に合わせた適切な診断・治療の選択につなげています。
心臓は絶えず動いている臓器なので、画像化(イメージング)には最も難しい臓器のひとつです。装置があるからといってどこの医療機関でもできるというわけではありません。診断に足る質の高い撮像を行う技師、画像だけでなくあらゆる臨床データを駆使して包括的に診断を行う医師の読影力、そして安全かつ効率的に検査を遂行する看護師や事務スタッフらのスキルと連携があってこそ成り立つものです。
ハートセンターでは、循環器疾患に特化した技術を駆使して、他には真似のできないクオリティを提供します。
超音波検査・CT・MRI の使い分け
MRI は、主に心機能や心臓の筋肉(心筋)の異常を検出するのを得意とする検査です。X線被ばくなしで、造影剤を使うことなく心臓の動きや形態を観察することができます。冠動脈も(CTよりは画質は落ちますが)造影剤なしで観察することが可能です。さらに造影剤を用いると、心筋の変性や病気の特定など、より詳細な情報を得ることができます。画像診断の中では最も専門性が高く情報量が多い検査のひとつといえます。
磁気の力を利用して体の水素原子からの信号をコンピュータ解析して画像化する検査です。CTのようにX線被ばくがなく、より安全に、多くの情報を得ることができます。心臓においては、特に心機能や形態、心筋のダメージなども詳細に観察できます。
CT は、主に冠動脈(心臓の栄養血管)や大動脈、末梢動脈の狭窄や拡大など、動脈硬化性疾患の精密検査に向いています。血管壁や内腔を詳しく観察し、計測することができます。冠動脈ステント留置術後やバイパス手術、大動脈の手術後の経過観察にも用います。血管の撮影にはヨード造影剤を使用し、X線を用いて行う検査です。
X線を使って体内の構造を画像化することができます。3次元の画像データをコンピュータ解析して再構成し、あらゆる角度からの立体的な画像を構築することができます。特に冠動脈や大動脈をはじめとする血管の情報を得るのに適しています。
超音波検査(エコー)は、簡便に心臓の動きや形、大きさをみることができる検査で、最も数多く行われています。動いている心臓をいろいろな角度から動画で撮影し、即座に観察することができます。心臓内の血流をリアルタイムで測定でき、心臓弁膜症やシャント疾患の検査に適しています。
身体の表面から心臓に超音波をあて、跳ね返ってきた音を画像化します。心臓超音波検査では、心臓の構造や動き、心臓の弁に逆流がないかなどを調べます。血管超音波検査では、動脈硬化プラークの付着や血栓の有無、血液の流れなどを調べます。