弁膜症手術
当院で最も頻度の多い手術の一つが弁膜症疾患に対する手術です。
心臓には 4 つの部屋があり、各部屋の出口には弁がついていて血液を一方通行に効率よく流れるようにできています。この弁が壊れて逆流したり(閉鎖不全症)、狭くなって血液が通りにくくなる(狭窄症)病気が弁膜症です。
僧帽弁閉鎖不全症には、可能な限り自己の弁を温存する弁形成術を行います。開院当初より僧帽弁形成術に力を入れており、現在まで約850例を執刀しています。
また、小さな創部から手術を行う右小開胸アプローチ法(MICS)を東海地区でいち早く取り入れており、2018年からは3D内視鏡を用いた内視鏡MICSを行っています。
僧帽弁は心臓の深い部位にあるため、内視鏡を用いることで詳細な観察が可能となります。僧帽弁形成術のQualityをあげることができ、短期成績はもちろん、長期成績もよくなります。
当施設での内視鏡・MICSの良好な成績が論文にとりあげられています。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1155/jocs/7846083


僧帽弁形成術が不能な場合や、病態により弁を取り換えたほうが良い場合は、人工弁置換術を行います。
当院では、僧帽弁置換術の際に、腱索という組織を温存し、術後の心機能が保たれるように工夫しています。低左心機能の患者さんへの手術も優れた成績を出すことができ、論文に掲載されています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6851538/
大動脈弁狭窄症・閉鎖不全症に対しては人工弁に取り替える、弁置換術を行います。大動脈弁置換も MICS で積極的に行っております。大動脈弁に対する MICS は内視鏡を用いたMICSに加え、創部を脇の下(腋窩)にすることで傷が目立たないよう改良し、論文掲載されています。
https://www.annalsthoracicsurgery.org/article/S0003-4975(20)30572-5/fulltext
人工弁を用いない大動脈弁形成や、自己弁温存の大動脈基部再建術も病態に応じて積極的に行っております。大動脈弁形成術・自己弁温存基部再建術は現在まで76例に行っています。(図 自己弁温存基部再建術・David 法)
形成術や自己弁温存が可能かどうかは、医師にご相談ください。
三尖弁閉鎖不全に対しても積極的に形成術を施行しており、現在まで約 450 例の三尖弁形成術を行ってきました。中には、ペースメーカーによる三尖弁閉鎖不全も含まれており、長期間Qualityが保たれる方法を考案し、論文掲載されています。